スーパーコピー代引き専門店徹底したこだわりが引き寄せる、孤高の価値【アーミン・シュトローム】
「ピュア レゾナンス」という名にふさわしい、アーミン・シュトロームの新作
「1本筋が通っている」。筆者が好きな言葉の1つだ。なぜなら、筋を1本に絞る、というのは、不要なモノを全てそぎ落とし、必要なモノだけを残してこそ、初めてそう言えるからだ。
それでは、実際にそうできるのか、と言われると、実は全く自信がない。何が必要で、何が不要なのか、選び取る段階で迷いに迷ってしまうのだ。
もちろん、個人と法人・企業では同じ尺度で測ることはできないのは重々承知の上だが、それでも今年のアーミン・シュトロームの徹底したこだわり振りには驚かされた。なにせ、ブランド自身が「スタイルにこだわりすぎかもしれない」というくらいなのだから。
ただそれは、この場合、深い自信に支えられた謙遜であることは容易に想像がつく。なぜなら今年の新作を「Pure Resonance(ピュア・レゾナンス)」名付けたことによる。
アーミン・シュトロームがPure Resonanceで表現したかったこだわりとは「精密さと⾼精度」。精密さは機械式腕時計としての機能はもちろん、今回発表されたモデルに搭載されているレギュレーター機構の「見せ方」までをも含む。高精度は読んで字のごとく、時計としての本来の機能である計時性の高さだ。
アーミン・シュトロームがピュア・レゾナンスによって表現したこだわり、よりクラシカルなアプローチと、さらに向上した精度を見てみよう。
■クリアなデザイン
何といってもまずは見た目のデザインは、「い」の一番に気になるところだが、アーミン・シュトロームは、彼らの考える、時計作りの本質に焦点をあてた、デザインへのアプローチを実践している。この時計のもっとも顕著な特徴である、可視化されたデュアル・レギュレーターを強調しているところだ。
このモデルのダイアルには、時刻表示用の2 つのサブダイアルがある。オフセンターにセットされたダイアルのひとつは、大型のローマ数字とクラシックなレイルウェイ型のミニットマーカーにより時・分を表示している。
針はWater(スティール・バージョン)がスティール、Fire(ゴールド・バージョン)がローズゴールド製だ。一方、7 時位置の小さなサブダイアルでは、バトン型の針が秒を表示させることにより、配色のコントラストとメリハリの効いた数字とサブダイアルの配置により、時計本来の持つ視認性をしっかりと確保しているのだ。
■⾼精度を維持するためのテクノロジー
次に肝心の機能面を見てみよう。と、言いたいところだが、ここにもアーミン・シュトローム一流のこだわりが見て取れる。全体の精度を向上させながら、モデル名にもなっている「レゾナンス=共振する」レギュレーターを見せる、というところだ。
このためだけに、ブランドのディレクターであるClaude Greisler(クロード・グライスラー)は、キャリバーARF15 に備えられている一対のフライバック機構を装備した秒針を廃し、サブダイアルによる秒表⽰の⽅式に変更するという熱の入れようだ。
なぜ、その部分を改良したのか、という点にはいくつもの深い理由があり、ムーブメントに着目することでそれをみいだせる。時計を動かすための機構が少ないほど、精度ということに集中することができからだ。⾔い換えれば、余分な機能が無いので、正確な時を提供するということに焦点を置くことができる、ということでもある。時刻表示は、下部のレギュレーターから分配されたエネルギーを受け取り、上部のレギュレーターは、共振現象を現出するための役割を果たしているのだ。
そして、この改良はエネルギー伝達の効率だけにとどまらず、ムーブメント自体のデザインにも投影されている。搭載された最新のムーブメント、キャリバーARF16 では、共振するレギュレーターと遊び心のあるレゾナンス・クラッチ・スプリングがハイライトされている。
新開発のブリッジには、アーミン・シュトロームとしては初めての、目を惹くコート・ド・ジュネーブ装飾がなさおり、「ムーブメントのアーキテクチャを再設計する目的は明確で、レゾナンスの輪列と精度に焦点をあてたのです。」と先ほどのブランドのディレクター、グライスラーは言っているが、そこには精度の追求とともに機能美も存分に堪能できるよう、配慮がなされているのは明白であろう。
■クラシカルなサイズ
ピュア・レゾナンスの外観設計思想も、しっかりとそのこだわりが貫かれている。まずキャリバーARF16形状ありき、でそれを元に全体の形状に反映していく、というものだ。このムーブメントは、Mirrored Force Resonance(ミラード・フォース・レゾナンス)より1.8mm 小さい42mm 径のステンレススティール、または18K ローズゴールドのケースに収められている。
ラグ、リューズとも小さくなり、実質的にベゼルはない。しかし、特徴的な6 時位置の「リップ」は残されている。これは、このスペースにパーソナルな刻印を施すことを提供した(それは、現在でも⾏っているが)創業者アーミン・シュトローム本人の考えを忠実に守り、アーミン・シュトローム社がどのような時計であってもカスタマイズ可能であることを示しているのだ。
ピュア・レゾナンスは、⼀⾒、なんでもない「三針時計」のように⾒え、動作する。そして、これはブランドとしてのアーミン・シュトロームの哲学に沿ったものであるが、そこには完璧に計算しつくされ、徹底的にこだわりを貫くことで勝ち得た、孤高の価値が確かに存在する。これ見よがしに見せない美学もまた、その価値をさらに高めることに華を添えているのではないかとも考える。「1本筋を通す」ということはどういうことなのかをこれほどわかりやすく、提示されると、自然と襟を正す気持ちとはこういうことかと、筆者はしみじみ思う次第である。